ブログ京橋店

2018.1.15

日本料理について

大寒の厳しい寒さが身にしみる季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

旧年中は当店をご利用いただき誠にありがとうございました。
本年も何卒宜しくお願い致します。
今回は日本料理の五法、五味、五色、そして基本献立をお話してみます。
特に精進料理では季節感を大切にし、五法、五味、五色の組み合わせを重視します。
『五法』とは基本調理法であり生、焼く、揚げる、煮る、蒸すの調理法です。
『五味』とは塩味、甘味、酸味、辛味、苦味、季節の味わい(風味)の五味です。
春は若芽の苦味、夏は果実の酸味、秋は実の熟した滋味、冬は蓄えに干した甘味。
これに通年楽しめる茶の渋味を加えた5つの味をいいます。
ちなみに五原味には塩味、甘味、酸味、苦味、旨味があり上記に書いた辛味が無く精進料理の『五味』との違いであります。
『五色』とは料理の風景(盛り付け)素材と食器の色の要素であります。
赤色、青色(緑色)、黄色、黒色、白色が『五色』です。
精進料理は寺院料理であり、各寺院に独自のものが伝えられています。
奈良県東大寺の結解料理はわが国最古の精進料理といわれています。
福井県永平寺の精進料理は鎌倉時代に道元禅師が伝え確立したものであり、道元は著書
「典座教訓」の中に料理を作る心得として「喜心・老心・大心」を記しています。典座とは修行僧の食事を作る役職を言い
・喜心とは喜びを持って食事を作る心構え
・老心とは親が我が子を思う気持ちで食事を作る心構え
・大心とは差別の心を持たず大きな心で食事を作る心構え
以上の三つの心構えを持って料理を作ることが大切であると示しています。

次に日本料理の基本献立例についてお話をしてみます。
本膳料理(武家社会の食事様式)
・一汁三菜が基本(飯を主にして汁、なます、煮物、焼き物)二汁五菜、三汁七菜と宴の規模に応じて膳の数が増えます。日本の日常食の献立に継承されています。
・本膳、二の膳、三の膳、予の膳、五の膳と料理の数に合わせて膳の数も増えます。

二汁五菜の献立構成
・本膳→本汁(みそ汁)、膾(酢で和えた刺身)、坪(汁のない煮物で深みのある器に盛る)香の物(たくあんと他の者で2~3種類)、白飯
・二の膳→二の汁(主にすまし汁)、平(海、山、里のもの3~5種類を盛り合わせ、浅めの蓋付きの器に盛る)、猪口(野菜の浸し物、和え物など)
・三の膳→焼き物(季節の焼き物)

懐石料理(茶の湯、茶をおいしく飲むための軽い食事)
・向付(汁と飯に対して向こう側に置くので向付と言います)刺身、膾等が多く陶器の小鉢に盛られます。汁(合わせ味噌仕立て、袱紗仕立てとも言い料理は少量盛り付けます。
飯(白飯3口分を一文字や山形に盛ります)
・椀盛り(汁気の多い煮物の盛り合わせ)
焼き物(季節の魚介類。5人分ずつ盛られてすすめる。客が自分の器に取り寄せる)
・箸洗い(口直しのための簡単な吸い物。ごく少量。小吸い物、一口吸い物とも言います。
・八寸(山海の珍味を2~3品用いる。8寸四方の杉板に盛られることから呼ばれます。そして5人分ずつ盛られます)
・強肴(しいざかな、すすめさかなとも言います。「もう一献どうぞ」と酒を勧めるために出されます)
・湯桶(お焦げに湯を注ぎ塩味をつけたお茶漬けのようなもの)香の物(沢庵に季節のもの1~2品盛り合わせます)
・茶(主に濃い茶が出されます)菓子(主に生菓子)

会席料理(江戸時代に始まった酒宴向きの料理。現代の宴席での主流になっています)
・前菜(酒の肴、季節の物を3種か5種か7種の盛り合わせ。あるいは浸し物や和え物を小鉢で出します)
・刺身(季節の魚を2~3種)
・吸い物(すまし仕立て。椀種、つま、吸い口を組み合わせます)
・口代わり(山、海、野の季節の珍味数種を盛り合わせます)
・焼き物(魚介類、肉類を主に用いります)
・揚げ物または煮物(炊き合わせ)いも、野菜、肉等盛り合わせます。
・蒸し物(茶碗蒸しなど)
・和え物(または酢の物)
・止め椀(赤だしなど)、香の物、飯(きのこご飯、竹の子ご飯など)
・水菓子(季節の果物)

以上、日本料理の献立例です。いかがでしたでしょうか?
ご清覧、誠にありがとうございました。
画像

        香水亭京橋店料理長   越智健介

< 戻る

WEB予約はこちら

お電話でのご予約

瓢喜 香水亭 六本木本店

03-5414-1196

瓢喜 香水亭 新橋店

03-5510-9070