ブログ京橋店

2017.2.8

海老芋の栄養価と歴史

春の陽気か待ち遠しい今日この頃、少しずつではありますが暖かさをとりもどしつつあります。

移り行く季節を楽しめるのも日本ならではです。

さて本日は京野菜としても有名な、海老芋という芋についてお話させていただきたいと思います。

京野菜:海老芋について

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この海老芋はその名前の通り海老のように曲がっており、横縞の模様がついていることからこの名前になったと言われております。

収穫時期は10月上旬~11月中旬ほどで、京都府を中心に主として近畿地方で消費されています。京都でよく食べられる芋なので京芋と呼ばれることもあります。

食材としての特徴としては、粘りがありよく締まった肉質と優れた風味、少しの甘みがあり、煮ても煮崩れしにくく色も変化しない点が挙げられます。このため、一般的なサトイモとは違って高級食材として扱われています。海老芋を使った料理としては有名なものに京料理の芋棒というものがあります。

海老芋の歴史は、江戸時代の1770年ぐらいに、青蓮院宮という方が長崎のお土産として持ち帰った里芋を仕えていた平野権太夫に栽培を委託し、そこで採れた大型で良質の芋が海老芋の始まりとされています。海老芋の名もこの頃に名づけられ上鳥羽や九条で栽培がおこなわれるようになったそうですね。

それでは海老芋の栄養価について触れてみたいと思います。まず主成分は糖質とたんぱく質で、腸内吸収率が高く、穀類のでんぷんとは違う性質を持っています。脂肪の燃焼に必要なビタミンB2が多く、低カロリーなので、ダイエットをしている方にも安心して食べていただける食材と言えますね。塩分の排泄効果があるカリウムが、じゃがいもよりもより豊富なので、高血圧が気になる方にも適しており、むくみの改善にも効果的です。また、サトイモ科独特のヌメリの正体は、解毒作用のある酵素で、肝臓や腎臓を丈夫にし、老化防止に役立つと言われています。

海老芋の調理方法について

pixta_9995026_M代表的な調理例と致しましては先程挙げました芋棒ですね。芋棒の作り方は、まず棒だらを適当な大きさに切り、水につけて戻します。このとき水をこまめに取り替えると匂いも取れます。
そしてこれを茹でます。一度茹で汁を捨て、芋のほうも皮をむいて茹でておきます。
鍋に酒・しょうゆ・水を入れ、棒だらと芋を入れて煮立てます。
煮立ったら火を弱めてじっくり味を含ませる様にことこと煮ます。
最後にみりんを入れれば完成です。
調理自体はとても簡単です。ポイントは棒だらの匂いをどれだけ丁寧に取れるかと、棒だらの味を芋に染み込ませるかですね。

もうひとつご紹介したい料理は海老芋のから揚げです。
大きめの海老芋1個を乱切りにしたら、水にさらしアク抜きをします。ボールに醤油大さじ2みりん大さじ1を入れて海老芋を5分ほど漬けます。
その後、味の染みた海老芋に片栗粉をまぶし、フライパンで表面がカラッとするまで揚げれば完成です。

伝統的な京野菜として古くから栽培され続けてきた海老芋ですが近年はその生産量は年々減少傾向にあります。これは生産農家の方々の高齢化など様々な問題によるものだそうです。これは海老芋だけではなく色々な食材で共通する重要な問題ですよね。
昔から大切に栽培してきたものや、食文化を時代の流れによってなくなってしまうのはとても悲しいものです。それに対し、今私たちが一番初めにできることは「知る事」だと思います。今は新聞や本、インターネットなどでなんでも調べることができますよね。様々な食材の食べ方、歴史、現状などを知り、興味を持つことがとても大事なのではないのかなと私は思います。
私も料理人としておいしい料理を提供するだけではなく、食に対する知識をさらに深め、食材にも生産者の方々にも誇れるような料理を作り続けていけるよう日々努力していきたいと思っております。

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