ブログ新橋店
2022.1.31
三大珍味の一つ、このわた
皆さま、三大珍味の一つとされる「このわた」をご存じでしょうか?
日本酒好きの方ならば、酒の肴としてお好きという方も多いのではないでしょうか。
本日は、「このわた」についてお話をさせていただきます。
海鼠腸(このわた)って、何?
「このわた」は漢字で書くと、海鼠腸です。
つまり、海鼠(なまこ)の腸のことなんですね。
海鼠は、海底に住む円筒形で、外皮は柔らかい肉質で、多くの突起がある生き物です。
ちなみに日本で三大珍味とされているのは、「このわた」「うに」「からすみ」です。
この三大珍味は、江戸時代から食されており、珍味と認識されていたのだそうです。三大珍味は、みな海産物であることが特徴です。「からすみ」は、ボラという魚の塩漬けされた卵巣を天日干しして乾燥させたものです。
「このわた」は、「こ」の「わた」。
海鼠のことを昔は「こ」と言っていたそうで、それの腸(わた)の部分というわけです。
「このわた」も、腸を塩漬けにして熟成させてから作ります。
一匹のナマコから採れる腸は一本だけで、5kgのなまこから腸の部分は100gしかとれません。それだけ希少な部位なのです。
冬の食材 海鼠
海鼠の旬は、寒い時期の11月から3月頃までというところが多いようです。
ほぼ一年中、海鼠は出回っているのですが、美味しい「このわた」を作るには材料が大切です。
夏の間、海鼠は砂地の海底に穴を掘って過ごしています。
そして、秋になり海水の温度が冷たくなると穴から抜け出し、活動を開始します。
冬の海鼠は腸が太く、肉厚で、立派に育っていくので、美味しくなっている時期になっているのです。
このわたは、この時期の新鮮な海鼠を使って作ります。
ブヨブヨとした触り心地の海鼠ですが、調理法にもよりますが、海鼠は料理にするとぐっと硬くなり、歯ごたえが増します。
コリコリとした食感で、噛み続けているうちに貝にも似た独特のうま味があります。
旬の海鼠は、身が引き締まって美味しいものです。旬の季節に味わってみてはいかがでしょうか。
このわたの美味しさ
このわたは、ほんの少しでも口に入れると独特の風味と磯の香り、甘みがあります。
酒の肴として、これ以上の相性はないとも言われています。
ですが、このわたは、鮮度が大変重要ですので、鮮度が落ちたものを食べてまずいと思われる方もいらっしゃるようです。
ぜひ、いい状態でつくったこのわたを体験していただきたいと存じます。
その食べ方としては、通の方にはそのままでも喜ばれると思いますが、三杯酢に浸して酢の物としても美味しく酒肴として最適な一品です。
さらに、お酒の好きな方でしたら、このわたに熱燗の酒を注いだ「このわた酒」がおすすめえす。
少量のこのわたに熱燗に加えることで、このわたの風味がふわっと香ってきます。
そのほか、「このわた汁」といって、このわたをまな板の上で庖丁で叩いてから椀に入れて、ごく薄味に仕立てた汁を注いだものもこのわたの味を味わうにはおすすめです。
このわたは、しょっぱさがありますので、このわたを始めて召し上がる方でしたら、うずらの卵を落としたり、とろろと合わせたりして食べすると召し上がりやすくなります。
海鼠腸は好き・嫌いが分かれやすい珍味ですが、一度食べたら病みつきになる方も少なくありません。
見た目から少々敬遠されがちななまこですが、実はビタミンBやナイアシン、鉄分などの栄養素が豊富に含まれています。
機会があったら、召し上がってはいかがでしょうか。