ブログ新橋店

2017.3.22

出会いと別れの季節3月となりました。皆様、如何お過ごしでしょうか。

 

今回は春の代表的な食材、「筍」についてお話したいと思います。

 

新橋店 写真1

 

さて、全国各地にタケノコ産地は数多くあります。

その中でも良質な産地として知られるのが京都です。中心地は、何と言っても西山と言われる洛西地域(京都市西京区から向日市、長岡京市、乙訓郡大山崎町など)。最上のタケノコの産地とされています。

 

この辺りの土質は、粘質土壌で質の良いタケノコの適地で、竹林は緩傾斜地で水はけが良くさらに好条件です。そして竹は水分を多く必要としますが、この辺りは霧もよく発生し湿気も保たれ、夏の雨量が多いのもタケノコの生育に適しているのです。

このような恵まれた環境の中で伝統的な栽培方法をしっかりと守っている洛西地域では、小原野、大枝、物集女といった地域名がそのままブランド名になって取り引きされています。

 

また、京都のタケノコの中でも、皮が白っぽい薄黄金色で、穂先が柔らかく黄ばみ、中身はやや透明感があって白く肉質は柔らかくて甘みがあり、えぐみがないものを俗に「白子」と呼んでいます。

「白子」と呼ばれるタケノコに象徴されるように白くて柔らかく、えぐみのないタケノコが京都のタケノコ作りの目標とされてきたそうです。「白子」は、黒っぽい「黒子」より上質とされ、値段も高いですが、同じ竹林でも両方栽培できます。

より粘質な土の方が白っぽくて柔らかいタケノコができますが、場所によって土の水分の具合が少しずつ違います。この水分の違いにより、湿っているほうがより白いものができるそうです。

 

ただ、湿っているとそれだけ根が傷みやすいのか、地下茎が「黒子」より少ないので、収穫量が少なくなってしまうそうです。両者に明確な区分けの基準があるわけではないですが、単純にいうと白っぽい土からは「白子」と呼ばれるようなタケノコが多く出ます。

ここで大切なことは、「白子」は粘質な土からしかでないということです。粘質な土が良いのは土壌の中に空気が通りにくいのでタケノコが空気にさらされなくなるからです。

 

京都のタケノコ栽培の最も特徴的な作業は12月から1月のかけて行われる「敷わら」と「客土」で、この作業が白くて柔らかくえぐみのないタケノコを育てます。

こうした毎年の「客土」の作業があってこそ明治時代から続く竹林でも野菜作りでよくいわれる連作障害もなく全国に誇る、美味しいタケノコが京都は収穫できるのです。

 

筍の定番料理を紹介したいと思います。

 

<筍木の芽和え>

木の芽和えには、タケノコの中でも根元に近い、歯ごたえのしっかりした部分を使います。

1.5㎝ほどのさいの目に切り、うどや貝柱と木の芽味噌で和えます。

木の芽和えの1番のポイントはタケノコをはじめ、材料の水気をよくふき取 り、食べる直前に和えることです。

 

<若筍の御吸物>

タケノコの時季のちょうど出回る新わかめを取り合わせ、その出会いの妙を楽しむ料理ですね。

両者のバランスが大事なポイントになります、若布の食感は柔らかめが好ましく、それに合わせて

タケノコも穂先に近い柔らかい部分を使います。

タケノコの走りのころ、季節を先どる一品として提供することが多いですが、縁起物として

お正月の献立にも使うことがあります。

 

<筍の御造り>

刺身はもっとも鮮度の良い朝掘りのタケノコを使いますが、掘りたての若いタケノコは

あくも少なく柔らかいので、さっとゆがいただけで充分美味しいです、つけ醤油も濃厚なものでは

タケノコの風味を損なうので薄味に加減した割醤油や煎り酒などが好ましいですね。

 

<筍御飯>

筍御飯にはタケノコの根元の硬い部分や姫皮などを使い、ご飯の水加減は炊く分量によって異なり

2合以下のような少量を炊く場合にはふきこぼれる水分を逆算してやや多めに水加減をします。

油揚げを少量細かく刻んで入れると味に深みがましますね。

 

その他にも、タケノコは「木の芽焼き」「天ぷら」など、調理法もさまざまです。

 

是非当店のタケノコ料理など、春の食材をふんだんに使った料理をお楽しみくださいませ。

従業員一同、お待ち申し上げております。

 

 

 瓢喜香水亭新橋店 料理長 橋口定敏

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