ブログ京橋店

2018.11.25

調味料の使い方

秋も深まり、朝晩もめっきり冷え込んでまいりました。いかがお過ごしでしょうか。

前回まで基本調味料である砂糖、塩、酢、醤油、味噌、酒、みりんについてお話をさせて頂きました。そして、実は調味料を入れていく順番があるのはご存知でしょうか?

今回はなぜ順番があるのかお話をさせて頂きます。

調味料

 

私たちに最もなじみの深い和食。原点は江戸時代の食事「江戸食」だといわれています。

中世までは、きちんとした和食は貴族階級、武士、僧侶など限られた人たちが味わうものにすぎませんでした。

1643年に初の料理書「料理物語」が出版されると、お金を払えば誰でも料理の知識と技術を自由に手に入れることが可能になったのです。こうして家庭でもかつお節や昆布でだしをとり、しょうゆや砂糖で味付けをして、和食文化が庶民の間にも広がっていきました。

 

和食は、だしに調味料を積み上げていって、食材に味と香りをまとわせて、一品として成り立っていく料理です。調味料の順番「さしすせそ」をご存知でしょうか?

 

「さ」は砂糖。分子が大きくて味がしみ込みにくいので、塩より先に加えます。

「し」は塩。砂糖よりも味がしみ込みやすいので砂糖より後に加えます。

「す」はお酢。酢が持っているすっぱさや香りが飛んでしまうので、調理の後半で加えます。

「せ」はしょうゆ。昔は「しやうや」と書いていましたが、間違った「せうゆ」が広く使われ、「せ」がしょうゆに。長く煮ると香りが飛ぶので後で入れます。または、分量を少し残して調理し、最後に残りを加えて風味・香りづけをします。

「そ」は味噌。煮立てると風味がなくなるので、一番最後に。

というものです。

 

ではこの「さしすせそ」の調味料、味付けの順番を詳しく説明します。

 

・砂糖と塩は「味の礎」です。

味のベースを決めるこの二つの分子を比べると、砂糖よりも塩のほうが小さく、砂糖は塩の約6倍の大きさだといわれています。

ゆえに、砂糖と塩を同時に加えたとしたら、分子の小さな塩のほうが先に組織に浸透します。塩は組織を引き締める力があるので、砂糖が入りこむ隙は限りなく少なくなります。ですから、イメージ通りの甘みを出すためには余分な砂糖が必要になります。

つまり、塩より分子の大きな砂糖をまず入れて浸透させてから分子の小さな塩を加えたほうが、甘みと塩みのバランスが取れます。

 

・砂糖の浸透圧とうまみ

適宜に切ったかぼちゃやさつまいもなど、でんぷん質をもつ野菜に砂糖をかけてしばらくおくと、砂糖の浸透圧で水分を引き出し、溶けた砂糖が繊維の隙間を広げて味が入りやすくなります。

結果、食材のうまみが引き出され、少量の砂糖で美味しく仕上がります。また、砂糖はたんぱく質の再結合を遅らせ、たんぱく質の気泡を抱き込むので、卵焼きをやわらかく仕上げます。

 

・今やみりんが砂糖の役目

甘みとうまみは密接な関係にあります。だから、肉や魚など食材自体に複雑なうまみがあるものは余計な甘みをつけなくて大丈夫です。

砂糖のシンプルな甘みは、食材の持ち味を引き出します。滋味は豊かでも、肉や魚などがもつようなうまみが少ない野菜や、そのもの自体には味がない高野豆腐などは、砂糖分をやや多めにしたほうがうまみが広がります。

砂糖の代わりに発酵調味料でうま味成分が強く、砂糖より甘みがすっきりしていて、食材のうま味を複雑に引き出すみりんがおすすめです。

 

・砂糖の効果的な使い分け

一般的に使われている砂糖を大別すると、甘みの強い順から黒砂糖、三温糖、ざらめ、上白糖となります。

日常の料理に使いやすいのはクセがなく素材の持ち味を生かす上白糖。ざらめもシンプルな甘みなので果実酒などに。

食材自体にクセがあるものは複雑な甘みをもつ三温糖でコクをプラス。濃厚なコクの黒砂糖は黒蜜などのお菓子に使い分けると良いです。

 

 

いかがでしたでしょうか?ご清覧誠にありがとうございました。

 

京橋店料理長   越智健介

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