ブログ六本木店
2021.9.15
牛肉のランク

みなさま、牛肉の等級(ランク)は気にされていますでしょうか?
焼肉店や食肉売り場などで「A5ランク」といった表記を見かけることもあるかと思います。
ランクが高い牛肉ほど、高い値段で売られていますが、実はこのランク、肉の美味しさを測ったものではありません。
こうした牛肉のランクについて、本日はお話をさせていただきます。
日本独自の牛肉の格付けルール
牛肉の等級を表すA5ランクなど「アルファベット+数字」でのランク付けは、日本独自のものです。
こちらは、公益社団法人『日本食肉格付協会』が農林水産省から承認を受けた牛枝肉取引規格に基づいて、等級を決定しています。
アルファベットの部分は『歩留(ぶどまり)等級』といい、これは「その牛から、どのくらい商品となる牛肉が取れるのか」という“生産性”を評価したランクです。
牛の生体から内臓、骨、皮などを取り除いた枝肉から得られる部分肉の割合をAからCの3段階で評価し、Aが最高ランクです。
歩留等級区分
等級 | 歩留基準値 | 歩 留 |
A | 72以上 | 部分肉歩留が標準より良いもの |
B | 69以上72未満 | 部分肉歩留の標準のもの |
C | 69未満 | 部分肉歩留が標準より劣るもの |
数字の部分は『肉質等級』といい、「牛肉の色沢」「牛肉の締まりときめ」「脂肪の色沢と質」「脂肪交雑(脂肪の入り具合)」の4つを総合的に評価したランクです。
1から5の5段階があり、5が最高ランクです。
日本では、年間約90万頭の牛が格付されますが、その20%弱が最高ランクの「A5」に格付されています。
ここで注意したいのが、4つの項目を判定した結果、最も低い項目のランクが、その牛肉の最終的な肉質等級となる点です。
たとえば、「牛肉の色沢」「牛肉の締まりときめ」「脂肪の色沢と質」のすべてが「5」でも、脂肪交雑が「3」となったら、この牛肉の肉質等級は「3」となります。(脂肪交雑(しぼうこうざつ)とは、脂肪(サシ、霜降り)の入り方です。)
肉質等級の決定例
肉質項目 | 等級 |
---|---|
脂肪交雑 | 3 |
肉の色沢 | 5 |
肉の締まり及びきめ | 5 |
脂肪の色沢と質 | 5 |
こうしたことから、褐毛和種や日本短角種などといった牛肉は、もともと脂肪が少ないために肉質等級が低くなる傾向にあります。
格付は、「枝肉」の状態で、「歩留等級区分」と「肉質等級判定」を組み合わせた下の表のような15段階の「格付企画の表示区分」でによって格付けされます。
格付規格の表示区分
歩留等級 | 高← 肉質等級→低 | ||||
5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
A | A5 | A4 | A3 | A2 | A1 |
B | B5 | B4 | B3 | B2 | B1 |
C | C5 | C4 | C3 | C2 | C1 |
牛肉のランクを見る時の注意
何となくお気づきになったかもしれませんが、ランク=美味しさではありません。
実は牛肉のランクは、脂肪の「サシ」と肉の歩留で決まりますので、「おいしいかどうか」の判断の格付けはされていません。
サシが沢山入った霜降り肉がお好きな方であればA5やB5ランクのお肉を選べば良いのですが、脂が多いのが苦手といった方や赤みのお肉っぽい味がお好きな方もいらっしゃいます。
牛肉の美味しさは、その方の好みもあるためランクだけでは決まりません。
和牛ブランドのお肉は、それぞれ食味や食感など美味しさが違いますので、ランクを一つの参考として自分の好みのお肉も見つけていただきたいと思います。