ブログ六本木店
2017.11.16
鮟鱇

朝晩めっきり寒くなって参りましたが、皆様体調を崩されたりしておりませんでしょうか。
本日はこれから、まさに最盛期を迎えます鮟鱇についてお話させていただければと思います。
あん肝やあんこう鍋は特に有名ですので皆様ご存知だと思われますので、本日は少しうんちくを交えたお話をさせていただければと思います。
鮟鱇と七つ道具
まずは鮟鱇と言えばやはり「鮟鱇鍋」でしょう
こちら西の河豚、東の鮟鱇と言われる冬の代名詞の高級魚であり、その中でも北の鮟鱇、南の鮟鱇と茨城県を堺に分けられ、主に北の海で獲れる物がより上物とされております。
特に親潮と黒潮が交わる常磐物は築地でも上物とされております。
さらにこの鮟鱇、グロテスクな見た目とは裏腹に食べれない所がないと言われるように、骨以外は全て食べることができる無駄がない魚なのです。
唯一食べない頭の骨も、干して魔除けとして飾ったりしている所もあるぐらいです。
しかしながらこの鮟鱇、卵巣のないオスは個体が大きくならず、商品価値が低いため、料理に使用されるのはメスになっております。
さて、上記にあげた七つ道具なのですが、こちらも有名ですのでご存知かも知れませんが、
- 肝
- とも(胸ひれ、尾ひれ)
- ぬの(卵巣)
- だい身(身の部分、柳肉ともいう)
- 胃(水袋ともいう)
- えら
- 皮
となっております。
これらを鍋に入れ食べる鮟鱇鍋はまさに冬の至高の一品とも言えるでしょう。
食べ方も様々あり、醤油、味噌、どぶ汁などがあり、基本的には上であげた七つ道具が入っていれば「あんこう鍋」と呼べるのですが、その味は入れる肝の量などによって大きく異なります。
さらに上であげた「どぶ汁」に関しましては通常の鍋とも少し異なります。
何が違うのかと言いますと、このどぶ汁、水を使わないのです。
それじゃあ鍋じゃないと思われた方もいらっしゃるかと思いますが、まず肝を煎り、そこに具材と味噌をいれて作るものがどぶ汁なのです。
味付けが味噌と肝のみなのでとにかく濃厚で、食べなれない人にはクセが強すぎてしまうのでお店によっては若干のスープや調味料を入れることが多くなっているそうです。
それでも一般的なあんこう鍋よりも強力なコクや旨味が楽しめますので、あんこう好きな方は是非とも一度お試しいただければと思います。
また、この鮟鱇、食べておいしいだけでなく、栄養素も豊富な魚なのです。
淡白な味わいの身にはお肌にうれしいコラーゲンが多く含まれており、肝には皮膚障害や風邪、貧血や高血圧にも効果的と言われているビタミンAやビタミンB2、そして老化や癌の原因となる過酸化脂質や活性酸素を抑える働きがあると言われるビタミンEも豊富に含んでいるのです。
暖まれて、美味しくて、身体にも良い、まさにこれからの季節におすすめの食材ですね。
最後にその生態なのですが、鮟鱇は皆さまご存知の通り深海魚で、普段は海の底で暮らしております。
見るからにのんびりした風貌ですが実際素早く泳ぐことができず餌を取ることがとても苦手なのです。
しかしながらその代わりに鮟鱇のみが持つ頭の先端にひらひらと触覚のようなものが伸びており、まるで釣り人のようにそれを餌のように動かしよってきた魚を丸のみしてしまうのです。
この生態をもとに海外では鮟鱇は「anglerfish」「釣り人のような魚」と呼ばれたりもします。
意味や特徴をとらえていて面白いですよね。
以上鮟鱇について少しお話させていただきましたが、もちろん当店でもあん肝ぽん酢等、鮟鱇を使用したお料理を提供いたしますので、皆さま是非ともご来店の程、宜しくお願い致します。
瓢嘻 香水亭 六本木本店 料理長 大宅 康平